秋山真緩「軌跡構想 -流れの中のわたし-」
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加速する社会。
情報化が促進し、ものごとの流れの速さは急激に増している。都市の中で、何かに追われ何かを急いで私たちは生きている。
「軌跡」
軌跡とは、誰かの足跡であったり、動きを体系化するものであったり、普段見えないものを可視化する行為である。
何かを知覚し、流れの一部に触れることで時間の連続性を認識する。
客観的に他者を把握することで自己を認識する、自分や他人の立ち位置を俯瞰する場が現代には必要だと考える。
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世界は線でできている。
私たちにまつわる全ては、始めや終わりなどなく、どこからともなくやってきて、また何かに繋がっていく。
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「迷子」
都市の中で、
流れに巻き込まれ、方向が分からなくなってしまう。過ぎていく物事の速さに危機を感じ、立ち止まる。
輻輳の中で、自分がどこにいるかもわからぬまま過ぎ去っていく日々に不安を感じる。
私は今、どこにいるのだろうか?
「理解する瞬間」
高台に上り街を見下ろしたとき、ヒトやモノの流れを認識することができた。
他者との関係性を理解することにより自分の位置を確認し安堵する。そんな空間が、現代には必要ではないか。
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▲都市の交通機関を繋ぐだだっ広い広場は無数の人の流動空間となり、みな知らん顔、他人に無関心で急いでいる。
▼高架にのぼる。人の流れや建物の位置関係を把握する。自分の位置情報を知ることは、目的地に向かって歩くために必要な行為である。
人の動きは軌跡そのものだ。
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ー提案ー
1.軌跡を俯瞰する場をつくる
2.建築自体を軌跡として扱い、空間の手がかりとする
渾沌の中で、軌跡として可視化されたものだけが視覚情報として知覚できる。軌跡は、移動の流れに触れながら時間の連続性を想像させる。
あらゆるものに付随する軌跡を見ることで関係の繋がりや連鎖を想起する。可視と不可視の連続の中で世界の体系を把握する。
ー軌跡採取ー
軌跡により、運動の本質である空間と時間の観察をすることが可能になった。
軌跡を建築要素に落とし込むことで、軌跡による空間の構築ができるのではないか。
ー設計手法ー
軌跡の特徴である、「線形体」と「連続体」を建築の全体像とエレメントに用いる。
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▲連続する形態が続きを想起させる
ー設計敷地ー
多種多様な人々と情報が錯綜し、各地を結ぶ世界有数のターミナル駅である新宿駅。
その中でも人と交通機関の動線が交わる西口広場を設計敷地に選定する。
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▲線が錯綜する新宿駅
新宿駅では現在大規模な再開発が行われており、坂倉準三が手掛けた西口広場の自動車のためのスロープは、人のための大広場となる。
その地に、立体的な駅前広場を計画する。
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▲坂倉のスロープから軌跡が巻き上がる
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▲人々の軌跡が積層し交差する
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▲西側断面図
再開発される新宿駅は高さ100 ∼200mほどになる。高層化と共に動線が巻き上がり、広場が立体化する。
道は再開発後の建物に貫通し、ボイドがくりぬかれ、内部まで連続する。
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「バスの窓から」
バスプールでバスを待つ人、駅から街に出てくる人、その上を歩く人、動線の影が道路に落ちる。
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道の中に、ふと足を留める場所が点在する。
(カフェ、ライブラリー、ギャラリー etc.)
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▲坂倉のスロープから道が延び、動線が絡まり合う。
人の動き、道を繋ぐ階段、垂直に伸びるエレベーターの箱、連続するアーチ、柱の影、全ては「軌跡」である。
そこにさらなる人の移動や滞在という行為が時間軸と共に積層していき、この立体的な広場は色を変えていく。
これは単なる道ではなく、大きな一つ、あるいは複数の空間を描き出す線なのである。
講評:ここに入力(改行は不可)(古澤大輔)